絶対に知っておきたい胸の重要な働き
胸のメカニズムをよく理解すれば、豊胸、バストケアについて よくわかっていただけると思います。
胸の発育は女性ホルモンの作用
解剖学的には、乳房は女性のみならず、男性にも備わっているものです。 たとえば、赤ちゃんの胸を思い浮かべてください。この段階では、乳房を見て、 男の子か女の子か区別はつきません。なぜなら、乳房は、女性ホルモンの作用によって発育するからです。
女性ホルモンには、大きく分けて2つの種類があります。ひとつは、卵巣から分泌される 卵胞ホルモン(エストロゲン)です。卵胞ホルモンには、皮下脂肪を増殖させる働きがあり、 女性らしい丸みを帯びた体つきをつくります。
もうひとつは、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。黄体ホルモンは、 卵胞ホルモンとともに、卵巣から排卵を機に周期的に分泌され、脂肪組織を増やしていきます。 思春期以降、女性のバストが発育していくのは、これらの女性ホルモンの作用によるものです。
胸の発育過程
小児期(0歳〜10歳) | 生まれてから8歳くらいまでは、乳腺の発育に変化は見られません。これを、
乳腺の初期休止相といいます。 この時期でも卵胞ホルモンは分泌されていますが、 ごく微量であるため、乳房には何ら影響を及ぼしません。 8〜10歳になると、性腺刺激ホルモンの影響により、卵胞ホルモンが多く分泌されるようになります。 これにより、乳腺組織が発育をはじめ、乳管が枝分かれしていきます。 |
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思春期(11歳〜15歳) | 思春期を迎えると、卵胞刺激ホルモンの働きにより、女性は卵巣が成熟します。
その結果、卵胞ホルモンの分泌が盛んになり、乳房が発達します。 また、女性器の発育が促されることにより、女性のしるしである生理が始まります。 この時期にホルモンの分泌が悪かったり、ホルモンの主成分であるコレステロールの摂取が足りない場合、 整理不順であるとか、バストの発育が遅れるなどの影響が出るケースがあります。 |
成熟期(16歳〜30代後半) | 乳房は18歳頃にその発育を止めます。この頃から、女性は
受精・妊娠・出産ができるようになります。 乳房は成熟し、乳頭も大きくなって、赤ちゃんに授乳するための準備が整うのです。 |
更年期(40代〜50代) | この時期、多くの女性は閉経を迎えます。これに伴い、
乳房も授乳という役目を終了することになり、ハリやツヤを失い、
しぼんで垂れ下がっていきます。 これは、女性ホルモンの分泌が少なくなることにより、 乳腺が退化し、乳房についていた皮下脂肪が落ちてくるためです。 |
バストの構造はどうなっているの?
乳房は、そもそも、赤ちゃんと育てるための乳汁(母乳)を分泌する器官です。
解剖学的に見ると、
●母乳の出口である乳頭部分 ●母乳をつくる乳腺 ●乳腺を覆っている皮下組織
●それらを下から支える筋肉(胸筋) ●骨格(胸郭)
によって乳房は構成されています。 それでは、各部分について簡単に説明します。
乳 腺
乳腺は、母乳(乳汁)を分泌する腺組織です。乳房を触ると、乳房の中のコリコリした硬い部分。
これが乳腺です。乳腺は、もともと汗腺が変化したもの。ぶどうの房のような形状をしており、
1個の乳房に15〜25個ほどあります。それぞれの乳腺から分泌された乳汁は乳管を通り、
束になって乳頭にあつめられます。そして乳頭の近くにある乳管洞に蓄えられ、
赤ちゃんから吸いだされるのを待つのです。
皮下脂肪
バストについている脂肪です。大切な乳腺を、やわらかいクッションのように包み込む役割を持っています。
バストの脂肪は、バスト独特のものというわけではありません。
おなかや背中の脂肪と基本的には同じものなのです。ダイエットをすると、
バストまで小さくなってしまうことがあると思います。
これは、ほかの脂肪と一緒にバストの脂肪が落ちてしまうためです。
バストのふくらみのほとんどは、この皮下脂肪と乳腺でできています。
乳頭と乳輪
一般に乳首と呼ばれている部分が乳頭で、まわりの皮膚と比べて輪のように着色のある部分が乳輪です。
妊娠するとメラニン色素を刺激するホルモンが分泌されるため、
乳頭も乳輪もやや黒く大きく変化します。また、乳輪からは独特な匂いがでるようになります。
これらはいずれも、赤ちゃんにお母さんの乳頭を見つけやすくさせるためです。
また妊娠に関係なくとも、乳頭や乳輪の色は加齢とともにやや濃くなります。これは、
年齢を重ねることにより、メラニン色素が沈着してくることが原因です。
乳頭や乳輪の色や大きさは個人差があります。もちろん、病気などの異常とは何の関わりもありません。
色が濃いほど性経験が多いなどというのは俗説です。
健康には何の問題もありませんが、色や大きさを気にする人は多いようです。
また、乳頭や乳輪には感覚神経が集中しています。性的に興奮すると乳腺に血液が送られ、
エクスタシーを感じると、バストは25%も大きくなるといわれます。
胸 筋
乳腺や皮下脂肪の下にある筋肉のことで、大胸筋と小胸筋があります。
胸筋は胸を張ったり、腕を動かしたりするときに使われます。とくに大胸筋は、
バストの土台となっている大切な筋肉です。バストが垂れ下がってきた場合は、
大胸筋を鍛えることにより、多少それを食い止めることができます。
しかしバスト自体を大きくすることはできません。
胸 郭
背骨や肋骨からなる胸部の骨格です。大胸筋の後ろにあり、バストを支える働きをしています。
また、肺や心臓を外部の障害から守る働きもあります。
皮 膚
バストのふくらみを支える役割をします。バストの容量は、片方だけで200〜300cc前後だといわれます。
不思議なことに、その量は時間帯や感情の変化、ホルモンの分泌状態によって、
1日のうちでも変化しているといいます。
なぜバストは崩れるの?
バストの発育のピークは20歳前後です。それを過ぎると、一般に女性のバストは下に垂れはじめ、 除々にハリやツヤを失っていきます。
バストが垂れる一番の原因は、皮膚と筋肉の老化です。 乳腺や皮下脂肪を包んでいる皮膚が老化すると、 皮膚じたいが弛緩してくるため、結果的にバストが垂れてくるのです。
また、バストを支えている胸筋が衰えてくることも大きな一因です。 さらに、表面のハリ、ツヤ、弾力性が失われるのも、皮膚の老化によるものです。
もうひとつ、忘れてならない要因があります。それは、妊娠・出産と授乳です。 妊娠すると、女性のバストは急激に大きくなります。それは、バストの発育を促す女性ホルモンが、 通常時の数十倍も分泌されるためです。
もちろん、胸が小さくて悩んでいた人も、この時期にはちゃんと大きくなるのです。 問題はこのあと、出産し授乳が終わってからです。役目を終えたバストは、乳腺が退化し、急激にしぼみます。 同時に、その変化についていけない皮膚がたるんでくるため、結果的にバストの形が崩れてしまうのです。 このプロセスを何度か繰り返しているうちに、バストのたるみは進行していきます。
また、妊娠のみならず、ムリなダイエットをしたときも、同様の変化が現れます。 ダイエットで体重を急激に減らしたことで、授乳後のバストと同じく、 皮膚がその変化に対応しきれず、たるみを進行させてしまうのです。
バストの形が崩れる要因は、このようにさまざまです。ダイエットをしない人でも、 妊娠と授乳を経験しない人でも、老化そのものは避けようがありません。 ですから、女性である限り、このテーマは一生つきまとうものといえるでしょう。
バストの大事な役目=授乳
バストの9割を構成するのは脂肪組織です。乳汁(母乳)を出し、 赤ちゃんに授乳するという重要な役割をつかさどるのは、残り1割であるところの乳腺組織なのです。
乳腺は、ひとつの乳房に15〜25個くらいついています。 それぞれの乳腺から分泌された乳汁は、植物の茎のような管を通って乳頭に集められ、 乳頭の近くにある乳管洞に蓄えられます。赤ちゃんが乳頭に吸いつくと、その吸引刺激によって 反射的に乳汁分泌ホルモンが増え、母乳の出を高めます。
同時に、乳児による乳頭への刺激は、脳下垂体からオキシトシンというホルモンを分泌させます。 このホルモンには、乳房の平滑筋を収縮させる働きがあり、結果的に母乳を分泌させやすくなるのです。 つまり、実際に授乳を促しているのは、母親ではなく乳児なのです。
母乳の分泌量は、出産後2日目くらいまでは、501〜100ミリリットルです。 5〜6日目は250〜500ミリリットルと次第に増え、その後もっとも多いときで、 1日1000〜1500ミリリットルに達するといわれます。母乳の成分は、 乳児の成長に合わせて微妙に変化します。 また、細菌にたいする抵抗力をつけるなど、さまざまな抗体が含まれています。